「わかん、ないよ……」
頭の中がぐちゃぐちゃになる。
混乱してわけがわからない。
ただ、どちらに転んだとしてもつらいことに変わりはないんだ。
「一番大切にしたいものは何? それが重要よ」
エリカちゃんの言葉は、思考の渦に呑み込まれた私に垂らされた、救いの糸のようだった。
「いちばん……」
大切にしたいもの――
心臓がとくん、と鳴る。
胸の底でずっと渦巻いていた黒い雲はいつの間にか消え去って、
奥に隠れていた太陽が、冷えた心を照らし出す――
まっすぐ注がれる姉妹の視線を受け止めて、私は口を開いた。
「私が、守りたいものは――――」