私はほっとしていた。
 

すべてを話しても、ユリたちの表情は変わらなかった。
 
話している最中、彼女たちの表情が歪むことはなかった。
 
私と瑞貴が想い合っていると話しても。


「一歌」
 

しばらく無言が続いたあと、エリカちゃんがおもむろに私を見た。


「厳しいことを言うかもだけど、大人の意見として聞いてね?」

「……うん」
 

エリカちゃんの真剣な表情に、心臓が震える。


「若い頃の恋愛って錯覚も混じってる場合があるし、まだ狭い人間関係しかしらないから、本気の恋の相手に出会ってない可能性だってある」
 

恋愛経験も人生経験も、エリカちゃんには敵わない。

そんな彼女の『大人の意見』は、私にはすごくドライに感じられた。