ユリとエリカちゃんは私の話をずっと黙って聞いていた。


「そう……」
 

話し終えた後、考え込むように2人は黙る。




「……それで、一歌は瑞貴をどう見てるわけ?」


訊ねられ、エリカちゃんをまっすぐ見つめてしまった。


「どういう意味……?」

「弟として見てる? それとも男として?」

 
改めてそんなふうに訊かれると、返答に困る。


「どっちも、だよ」
 

ずっと守るべき弟だと思っていたけれど、気持ちをぶつけられて、恋愛の対象になった。
 
それでも、慈しむべき弟であることに変わりはない。


「そっか」


冷房から冷えた風がそよいでくる。

氷が溶けて汗をかいたグラスは、座卓の上に小さな水溜りを作っていた。
 
涼しい部屋にいるのに、それを見て夏だ、と感じる。