「噂に……なってるの？」
私の声にユリが反応する。
「ううん。人からは何も聞いてないよ。ただ、どこかで見かけたのか、一歌の弟がカッコいいって、みなみ達が話してて、それで一歌のとこは姉弟仲がいいって話になって、それで――」
「あたしとユリが勝手に憶測してる段階よ。……今はね」
「……」
「よく考えた方がいいよ、一歌。それくらい、あんたの恋はオオゴトなの。あたしたちの考えが合ってるなら……ね」
エリカちゃんの視線は厳しかった。
――分かってるよ。
考えなきゃいけないって。
痛いくらい分かってる。
「何から話していいのか……」
目を伏せると、ユリが背中を撫でてくれた。
正面から飛んでくるエリカちゃんの声も、心なし優しくなる。
