力任せにひねられた頬は、洗濯バサミで挟まれたよりも痛い。
 
開放されたあともじんじん響いてる。

頬も……胸も。


「もーお姉ちゃんてば」


大丈夫? とユリが私にタオルを渡してくれた。


「そろそろ話し時じゃない? 一歌」
 

そう言って、エリカちゃんが立ち上がる。


「一人で悩んで煮詰まってんでしょ」
 

椅子に座ると、私に視線を定めた。


「それとも、あたしたちには言えない?」
 

細まった目が寂しげで、胸がちくりと痛んだ。
 

久保さんの言葉が思い出される。
 

――一歌さんの信頼する人は、一歌さんが苦しんで相談したら、幻滅するような人なんですか?
 

きっと、そんなことない。
 
ユリも、エリカちゃんも、私を見下げたりしない。


きっと――