「俺のこと……嫌いになった?」


つながった指先が、力なく熱を伝えてくる。

細かに震える瑞貴の指を、ぎゅっと握り返した。


「ならないよ」


横たわる弟の傍らに腰を下ろす。


「心配だったの?」


背を向けたまま問うと、瑞貴の声が小さく震えた。


「……嫌われたくない」

「バカだな瑞貴は」


気弱な言葉にため息を落とす。



私達は小さい頃から――もう10年も一緒に過ごしてきたんだから。


「今さら嫌いになるわけないよ」


瑞貴のいいところも悪いところも、強いところも弱いところも、

なにもかも分かっていて好きになったんだから。



嫌いになる理由なんて、今さら出てくるはずがない。