夕食前に帰宅すると、瑞貴のスニーカーが玄関に脱いであった。
 
塾に行っていたはずだけど、日中に自習室を使っただけで帰ってきたらしい。
 

今日は授業がない日だったっけ。
 
1階に弟の姿はなかった。


部屋にいるのかな。
 

そう思いながら階段をのぼって自室のドアを開けた瞬間、生ぬるい風が頬を撫でた。


「あれ」
 

窓、閉めて出かけたはずなのに。

疑問に思いながら開け放してある窓に近づいたとき、ベッドの上に横たわる影に気づいた。


「わあっ」
 

驚いて声を上げてしまう。


「な、何してんの!?」
 

見ると、瑞貴がうつ伏せで私のベッドに寝転がっていた。