どんな小さな噂も拾ってくる情報通なクラスメイトの名前を口にした。
 
彼女なら、私と瑞貴のことを一番に聞きつけるに違いないから。


「何かって?」
 

きょとんとした顔でユリに見返され、言葉に詰まった。


「えと、いろいろ、噂話とか」

「噂? んー特に最近何も聞いてないけど。……なにかあった?」


不思議そうに見つめられ急いで首を振る。


「ううん、別に」
 

ユリが嘘をつくはずがない。
 
私の噂を聞いたらすぐに教えてくれるはずだし、もし瑞貴とのことを知ってたら今みたいになんでもない表情なんてできないはずだ。



石川君……言ってないのかな?
 
それとも、休み中だから噂が広まっていないだけ?


胸にとどまった不安の切れ端は、いつになったら消え去るのか……。
 

瑞貴と付き合っている限り、永遠に解消されないのかもしれないけれど。