「一歌、なんか顔色悪くない?」


買い物帰りのカフェで座席に着いた瞬間、ユリが私を見た。


「具合でも悪い?」

「え? ううん、……ちょっと寝不足なだけ」 


ストローをつまむとカラカラ鳴きながら氷が泳ぐ。
 
私の焦りを表すように、グラスについた水滴が滑り落ちた。
 

私はどうやら大きな悩み事があると顔に出てしまうらしい。
 
気をつけなきゃ。


「そういえば、来週のバーベキュー、ユリは行くの?」
 

話題をそらすと彼女は大きな目をくるりと開いた。


「うん、一応参加予定。一歌は不参加なんだっけ?」

「ん、ちょっと用事と重なっちゃって」
 

来週催されるクラスのバーベキュー大会に私も誘われたけど、みんなと顔を合わせるのが恐くて断ってしまった。
 

「ねえユリ」
 

アイスラテにシロップを混ぜていた彼女が「ん?」と目を上げる。


「みなみ達、何か言ってた?」