梅雨が明けると気温が一気に高くなった。
 
夏の日差しは湿った空気をじりじり焼き付ける。
 

SHRが終わって廊下に出ると、窓の向こう側が真っ白にかすんでいた。


「うわー外出たくない」


設定温度は高めでも、冷房が効いている校舎内は外に比べれば天国だ。


「外出ないと帰れないでしょ」


隣でユリが苦笑する。


「それとも一歌だけ学校泊まるの?」

「まさか」


明日から夏休み――だ。



毎日の家事はあるにしても、自由時間が圧倒的に増える。
 
もちろん、ユリと遊びに行く約束もたくさんしていた。
 

映画にプールに買い物に。
 
お互い事情は違えど、彼氏となかなか出かけられない身の上だから、逆に丁度よかったりする。