とりあえず、半裸のまま身を乗り出さないでほしい。
 
何気なく身体を引くと、瑞貴はきょとんとした顔で胡坐をかいた。


「どっか遊びにいけっかなぁ」

「勉強はいいの?」


夏って受験生は忙しいんじゃなかったっけ。

ただでさえ、瑞貴はお父さんに期待されてるわけだし。


「模試の後とか、息抜き程度には遊びに行きたいじゃん」

「そういえば、瑞貴の志望校ってどこなの?」


これまで漠然といいところに行くんだろうな、くらいにしか考えてなかった。
 
瑞貴の進む道によって、生活はきっと大きく変わる。


「……まだはっきりとは決めてないよ。けど――」

「けど……?」


真っ黒な瞳にそっと射抜かれ、心臓が跳ねた。


「一歌と同じガッコには、絶対行かない」