「――は、入るわけないでしょ!」


叫ぶと、瑞貴はくすくす笑いながら脱衣所に消えていった。


完璧にからかわれてる。
 
少し話そうと思ったのに、全然そんな雰囲気にならなかったし……。
 

幸せだけど、なんだか焦る。



たとえば、瑞貴との将来を選んだらどういう道が待ってる?
 
付き合っていても誰にも話せないし、家の中で接することはできても、普通の恋人同士がするようなことはできない。
 
手をつないで歩くとか。近くでデートしたりとか。
 

それに、あたしと瑞貴は結婚できるのかな?
 

そもそも2人が付き合ってることを、お父さんに打ち明けることができる――?
 

世間の目は?
 
瑞貴の将来は?
 

考え始めると不安がつぎつぎに溢れてくる。
 
そのくせ、私ひとりでは何1つ答えを導き出せない。
 

やっぱり2人で考えないと――