「窓開けても蒸し風呂状態だしさー」

「今日は風もないしね――って、ちょっと、何してんの!」
 

シャツのボタンを外しながら近づいてくるから、思わず後ずさりしてしまう。


「何って……シャワー入る前に水分補給」

 
言いながら傍らの冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出す。
 
前をはだけて肌を露出しながら、瑞貴はペットボトルを呷った。

リズムよく動く喉仏に、思わず見とれていると、


「なんか、一歌の視線がヤラしい……」

「ええっ!?」


ペットボトルを冷蔵庫に戻し、横目で私を見る。




「水も滴るいい弟……に、欲情した?」

「し、してない!」

「……ふうん」  


つまらなそうに唇を突き出しお風呂場に向かった瑞貴が、ドアの前でぴたりと止まった。
 
くるりと振り返り、大きな目で私を見る。



「一緒に入る?」