「なによ一歌! いい年の女が何言ってんだってこと!? 想いあってれば年齢なんか関係ないんだから!」
「……想いあってないでしょ、お姉ちゃん」
ユリの冷静な声が響くと「なによー」と言って、エリカちゃんは麦茶を飲み干した。
まるでビールでも呷ってるみたいに見えるのは、やっぱり大人の女の人だからかな。
年齢は離れているけれど、瑞貴とエリカちゃんなら、姉弟じゃない。
「……エリカちゃんて、うちの弟が好きなの?」
おそるおそる尋ねると、大きな目がきょとんと瞬いた。
「好き…………なわけないでしょ」
そう言って明るく笑う。
「やだー、何本気で心配してんの一歌。平気平気、あんたの弟に手を出すほど男に飢えてないから」
明るい声にざわついていた胸が静まっていく。
「そ、そっか」
そうだよね。
エリカちゃんならわざわざ中学生に手を出さなくたって、男の人がどんどん寄ってくるはずだ。
「あ、でも美少年は大好物だから、瑞貴がその気になってくれればあたしは別に――」
「――だめ!」