「かわいくなーい」
 

唇をアヒルのように突き出し細い身体をソファに沈める。


「ごめんねエリカちゃん」
 

苦笑しながら謝ると、エリカちゃんはちっとも気にしていないふうに目を輝かせた。


「それにしてもいい感じに育ってるじゃない瑞貴。あれは将来楽しみだな~」

「……」


そんな言葉に心の中がもやっと曇る。

もちろん顔には出さないけれど、なんとなく言ってしまった。


「……エリカちゃんと瑞貴じゃ11歳も離れてるよ」
 

余計なひと言だ。
 
普通に考えれば分かるのに。
 

案の定、エリカちゃんの目がくわっと見開いた。