「ただいま」


居間に入ってきた弟は私達に気付き、ぴたりと足を止めた。

それを見て、エリカちゃんが首を伸ばす。


「瑞貴!?」

「げっ…」


エリカちゃんと目を合わせた途端、一歩後退する。


「やだー、すっかり美少年になっちゃって! 元気にしてたのー!?」
 

駆け寄って抱きつこうとしたエリカちゃんをひらりとかわし、階段のそばに避難すると瑞貴は居間を一瞥してから私を見た。


「……女子会?」

「え? あ、うん」
 

まだ少し目を充血させたままのユリが「こんにちは」と微笑み、瑞貴も「どうも」と会釈する。
 
私がユリと同じ中学だった関係で、瑞貴もこの姉妹とは何度か顔を合わせたことがある。

弟が小学生の頃なんかは、ユリのことを好きだったんじゃないかな、とも思ってた。