周りから祝福されてる理想的なカップル。
 
その理想を、私の憧れを、壊してしまわないように――
 

それは思慮深いユリの、深すぎる優しさ。


家の中に漂うしんみりとした空気を打ち破るように、


「じゃあ、話は終わりだね」


エリカちゃんは一際明るい声を出した。


「ねえ、ご飯でも食べ行かない?」
 

一度決まったら、うじうじと考え込まない。

そんなエリカちゃんの性格に救われると同時に、うらやましくもある。


私も、こんなふうにカラッとしてれば――


とそのとき、玄関の方からドアを開ける音が聞こえた。