「かくれ……みの?」

「バスケ部のエースで有名人だから、下手に女遊びはできない。でも、ひとり、公に親しい女がいれば、裏で何をしてても目立たないでしょ?」

「……」 

「狡猾よね」
 

そうつぶやいてエリカちゃんは居間の片隅で小さくなっている妹を見やった。

座卓の向こうで、細い肩が微かに震えている。

耐え難い衝動が込み上げて、私はソファに身を乗り出した。


「で、でも、全部エリカちゃんの憶測でしょ?」
 

嘘であってほしい。
 
学校でのユリの幸せそうな姿が甦って、喉の奥を締め付ける。
 

想い、想われてる、学年公認カップル。

恋愛が充実してきらきらしたユリを、私はうらやましいって――


「残念ながら――」


残酷にも、私の願いは届かず、