「あいつ、シトウはね。取り巻き――ファンクラブか、の子たち何人かと確実にデキてんだわ」

「え……?」

「身体の距離とか、目の会話とか? そういうのから判断すると間違いなく肉体関係まであるんだなー。しかも複数人と」


背中を、嫌なものが流れ落ちる。


「ちょ、ちょっと待って」


それって……
 

ユリは相変わらずうつむいていて表情が分からない。


「司藤大地が、浮気、してるってこと……?」

「浮気っていうか、女が群がるのをいいことに、遊びまくってる感じ?」

「……」
 

信じられない。


「ま、まさかぁ。だって、学年全員がユリとの仲を知ってるくらいなのに――」
 

そこまで言ってエリカちゃんの表情にハッとする。
 
口元だけを緩ませた悲しげな微笑が浮かんでいた。


「シトウはね、学年公認ってのを隠れ蓑にして、裏で他の女に手を出してんの」


静かな口調に、心臓が揺れる。