「司藤大地に、何か問題でもあるの? だって、ユリに凄く優しいし、ファンクラブの子まで2人の仲を応援してるくらいなのに……」

「学年公認なのに――って?」
 

エリカちゃんのツヤツヤした唇が皮肉っぽく歪んで、ドキッとした。
 

言ってはいけないことを、口にしてしまったような、そんな気がして――
 

右手をひらりと返して、彼女は呆れ声を漏らす。


「まあ、実際色男だけど、あれはいただけないわ」

「なに……?」


胸騒ぎがした。

当事者のユリの前で聞いていいことなのか分からないけれど、


「何が、あったの……?」


促すと、艶めいた唇が静かに答えた。