「ど、どうして?」

「いいから」
 

ていうか、司藤大地が今どこにいるかなんて知らない……。
 

ためらっていると、ユリが一際大きな声を出した。


「もうやだ! いい加減にしてよ!」

「何言ってんのよ! あんたが――」

「お姉ちゃんに何の権利があるっていうの!」
 

ただでさえ人目を引く2人なのに、言い争いなんかをしてるから、余計に周囲の視線を集める。
 
遠巻きに眺めている生徒もちらほらだ。
 

何があったのかは知らないけど、2人そろって興奮状態なのは確か。


「あ、あの、2人とも!」
 

声を上げると、ユリは今にも泣きそうな顔で、エリカちゃんは眉を吊り上げて私に向き直った。
 

その迫力に圧倒されつつ、まずは落ち着くのが先決――


「と、とりあえず、うち、来る?」


強引に笑顔を作って提案した。