「余計なこと? 馬鹿言ってんじゃないわよ! あんたのためじゃない!」

「それが余計だって言ってるの!」


なにこれ、姉妹喧嘩……?


下校中の生徒たちも何事かと姉妹に視線を送っていく。


「ふ、ふたりとも落ち着い――」

「一歌!」

「は、はい!」
 

もがいているユリの腕をしっかりと掴んで、エリカちゃんが私を見た。


「シトウのとこに案内して」

「え? シトウ?」
 

……って、司藤大地?


「ユリの彼氏の……?」
 

ちらりと見ると、ユリは必死にエリカちゃんの腕を振り解こうとしていた。