「誰あれ、モデル?」

「A誌のネネちゃんじゃない?」

「えー、なんかちょっと違くない?」


近くにいた女子生徒たちのひそひそ話に校門のほうを眺めると、


「あ……」


下校中の生徒たちを横目に仁王立ちしている女の人が目に入った。
 
マキシ丈のワンピに日傘をさしていて、めちゃくちゃ目立ってる。


「あれは……まさか……」


私のつぶやきに被せるように、


「お姉ちゃん……」


ユリがつぶやく。 




「あ、いた! 一歌も一緒なの。ちょうどいいや」
 

私たちを見つけるとエリカちゃんはユリの腕を掴んだ。


「さ、行くよ。一歌も付いてきて」

「エリカちゃん、いったいどうし――」

「放して!」


私が説明を求めるよりも先にユリがエリカちゃんを睨みつける。


「余計なことしないでよお姉ちゃん!」
 

呆気にとられていると、姉の方も負けじと妹を睨み返した。