私のTシャツの上を滑り落ち、瑞貴の右手が太ももに触れる。
くすぐったさに身体が跳ねた。
ショートパンツの裾をなぞるように長い指がさわりと動く。
「ちょっ、ちょっと」
くすぐったい!
引き剥がそうとその手を覆うと今度は反対の手で私の背中の線をなぞった。
「……っ」
自分の顔が赤くなっていくのが分かる。
せっかくのしっとりした雰囲気から一転――
硬直している私を見つめ、弟は中指にギブスをしている左手でぺたりとTシャツ越しに胸を触った。
なんの躊躇もなく突然触られて、唖然としてしまう。
「な……」
Tシャツに手を当てたまま、瑞貴は私の様子を窺っている。
その手はもともとそこにあったみたいにぴたりと添えられていて、いやらしさはないけれど、
胸を触られていることに変わりはなく……
「な、なにしてんの……」
こわごわ尋ねた私に、弟は真面目な顔をした。