「俺は一歌が姉貴でよかったと思うよ」


優しいキスの後、瑞貴がぽつりと言った。


「どうして?」
 

私を見つめ、細い腕で包み込む。


「ずっと、一緒にいられるから」
 

耳元に吐息が触れる。

弟の、純粋な気持ちだ。
 

同じ家に住んでいるから。

2人の時間をたくさん持てるから。 
 


それはとても単純で、すごくまっすぐで、


きっと浅はかな感情。



「……そうだね」 
 

つぶやいて、その体温に身を任せる。

と、背中に回された腕が、するりと下降した。