「ちょっ」
咄嗟に私の口を片手で押さえ、弟は頬を引き攣らせる。
「変な声出すなって。父さんに聞こえたら変に思われるだろ」
押さえられたまま頷くと、瑞貴はそっと手を離した。
「で、何を見て――」
私の手元を覗き込むと、
「――わあああっ」
今度は瑞貴が悲鳴をあげた。
あわてた様子で私からそれをひったくり、ジーンズのポケットにしまいこむ。
「な、なに勝手にっ」
「勝手にって……普通に置いてあったから……」
私の視線を追ってサイドボードの洗濯物を一瞥すると、瑞貴は唇を真横に結んだ。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…