「ほら」
「あり、がと」
呆れ顔の瑞貴が差し出してくれたティッシュを受け取る。
と、私の頭に瑞貴の手が触れ、子供を慈しむみたいに優しく髪を撫でた。
「何にツボったんだよ」
小さく笑いながら、ぽんぽんと私の頭を叩く。
「しっかりしてるようでどっか抜けてんな一歌は」
優しげな声に、また、胸がきゅうっと締まる。
「う、うるはいよ」
鼻にティッシュを押し付けたままつぶやくと、瑞貴はまた楽しそうに笑った。
「どっちが年上かわかんねーな」
私の髪に触れる繊細な指。
その手に、触れたいと、湧き上がる感情を必死に戒めた。
同時に、瑞貴の体温が愛しいということに、私は気づいてしまった。