瑞貴がおかしそうに笑う。


あたしも、わけがわからないよ。


この胸の締め付け。


はじめての感覚だ。


どうしよう、よりによって――



「……何?」


不意に瑞貴が真顔になった。


多分、私がじっと見ていたから。

真っ黒に澄んだ大きな瞳に見つめられると、また胸が締まる。


「なんでも……ない」


そう言って静かに視線を逸らした。


どくどく響く心臓が、必死に本音を隠そうとしてるみたい。


もっと近くにきて、抱きしめて――


ふと腰に触れていた足が離れた。


瑞貴がソファから立ち上がる。


心臓が大きく揺れる――


けれど、


「じゃー俺寝るから。おやすみ」


そうつぶやくと、瑞貴は私に背中を向けた。