「これからは、3人で生きてかなきゃいけないな」
それはお母さんのお葬式が終わった日の夜。
祭壇には遺体ではなく、小さくなってしまったお母さんの骨壷が置かれていた。
「2人で一緒に瑞貴を守ってやろう」
疲れた顔で悲しくなるくらい優しく微笑んだお父さん。
その目の下にはクマが浮かび、頬はすっかり削げていた。
「一歌は瑞貴のお姉ちゃんなんだから、よろしく頼むよ」
隣の和室で泣き疲れて寝てしまった8歳の弟。
規則正しく上下する布団の膨らみ。
それを確認して、私はゆっくり頷いた。
「……うん。ちゃんと守る」
「……ありがとう一歌」
あの時、泣きそうな顔で笑った父の顔を、私は今も忘れない。