それはあっけない最期だった。
新築の家に漂う真新しい匂いがなくなるよりも早く、お母さんは交通事故で天国に旅立った。
不運としかいいようのない、嘆き悲しむ時間さえ与えられなかった命の幕切れ。
遺体は損傷が激しく、病院から火葬場に直行で、お母さんは最後に私たちに姿を見せることなく乳白色の骨になった。
涙を流せないままの私の横で、泣き叫んでいた弟。
壁の色だけがやたらと明るい、死に満ちたホールでの儀式。
二度と訪れたくないと強く願ったその場所に再び立ってしまった私は、
弟の手を取り、舞い降りる静寂の痛みに必死で耐えていた。
そして約束を交わした。