瑞貴が起きてきたのかもしれない。


静かに冷蔵庫を閉じたときだった。

不意に後ろから伸びてきた右手が、私の右耳を掠めて冷蔵庫のドアに触れる。


え―――?


行く手を阻むように突き出された手。


驚いて振り返った瞬間、唇に、柔らかな感触を受けた。
 


「……」



突然のことに棒立ちになる。



自身と冷蔵庫の間に私を挟むようにして、瑞貴が唇を重ねてる。


いまさらのように心臓が跳ね上がった。