しばらく泣き続けているとキィという音と共に屋上の扉が開いた。


「千尋…」


空耳かと思った。


だって私のことが嫌いなあなたはそんな切なそうな声で、私の大好きな声で私の名前なんて呼ぶはずないから。


「千尋。」


だけどそれは空耳じゃなくてはっきり耳に響いた。


振り向くとそこにはやっぱり私の好きな人。


「藤谷くん…」


一瞬口元が緩んだ気がした。