ほっと息をついたのも束の間。
「ほら、おいで?」
・・・杞憂さん・・・
なんか、色気でてません?
気のせい?
うーん・・・
たぶん気のせいだよね・・・
私はしょうがなく杞憂さんの近くに行った。
・・・・・途端・・・
パクッ
「!!!??////」
杞憂さんが、私の耳を・・・
・・・食べたぁ!!!???
ちょっ・・・えぇ!?
わたわたしてると・・・・・
ぺろぺろ・・・・
「~~/////」
今度は耳を・・・
舐めてるぅ・・・・・
私の顔・・・・・
絶対、今真っ赤だ。
ちゅぅっ
次は耳を吸い始めた杞憂さん。
「ひゃぁッ・・・・」
思わず声が漏れた。
!!?
何この甘い声!?
私は自分の声にさらに真っ赤になる。
~~~////
もう、死にたいっ・・・・・
「ん・・・。公開処刑終了♪ごちそうさまでしたー☆」
杞憂さんが爽やか王子様スマイルで告げた。
お・・・終わった・・・・・!!!!
私は床のへたりこんでしまった。
なんて公開処刑だ・・・
恥ずかしすぎる・・・////
「・・・青菜ちゃん。最後の声、よかったよ?」
杞憂さんが色気たっぷりに、私の耳元で囁く。
あああぁあぁぁぁぁあぁああ//////
私は羞恥に打ちのめされ、床につっぷした。
・・・・・マジで死にたいっ・・・/////
「ねぇねぇ、青菜ちゃんってやっぱすごいね。」
杞憂さんが私の背中をつんつん突きながら言った。
「・・・突かないでください・・・」
地味に痛いよ・・・
「じゃ、起きてよ。」
「なんでですか?」
「面白いことになってるから♪」
面白いこと?
興味をもった私は、羞恥に耐え、顔をあげた。
「・・・・・?・・・」
顔を上げると、異様な光景があった。
・・・なんで・・・・・
「あんた達が顔真っ赤にしてんの?」
なぜか、ここにいる紅狼と白狼の幹部以上の方々が顔を真っ赤にしていた。
いやいやいや・・・
ここ、私が真っ赤になる場面だよね?
なんであんた達が真っ赤なわけ?
「やー。やっぱ青菜ちゃんは違うねぇ!こいつらにこんな顔させるとは!」
「・・・なぜ真っ赤?」
「わかんないの?何気に青菜ちゃんって悪女?」
「なんで悪女なんだ!違うって!!」
杞憂さんに言い返すと、声が聞こえた。
「・・・あの反応なに?ヤバイって・・・///」
「・・・・・・やばすぎ・・・・///ムニャムニャ・・・・」
「・・・・・/////」
「オレ、あんな反応っ、初めて見たッ・・・////」
「僕・・・あの声でもぅ・・・///」
「俺だって、あんな声の女は初めてッ・・・///」
「正直、理性とびそうですね・・・///」
「・・・・・なんか、もぅ、僕・・・/////」
「さすが・・・っつーか・・・破壊力やべぇ・・・/////」
「・・・・・マジ、かよ・・・曖昧な思いじゃないような・・・////」
・・・・・・皆・・・・
何の話してるんだろ?
よくわかんないや・・・・・
「・・・杞憂さん・・・なんで皆真っ赤?」
「あー。わかんないならいーよ。
・・・わかんない方が面白いし♪」
・・・・・・意味わからん。
「それよりさ。青菜ちゃん気づいてないよね。」
「・・・何がです?」
「ウィッグのこと♪」
「・・・ウィッグ?」
咄嗟に髪に手をやると、ウィッグは取れていた。
「あれ?なんでっ・・・」
「僕がぱくっとした時にスルッと取ってたんだ♪」
「ええ!?なんでっ・・・」
全然気がつかなかった・・・・・
「だって、見た目が男のヤツにやりたくないし。」
・・・・・・・あー・・・・
「なるほど。」
確かに、男にアレはキツイな・・・
「顔が赤いのは、青菜ちゃんの外見への驚きもあるんだろうね・・・」
にやにや笑いながら、杞憂さんは意味不明なことを言う。
「ふふっ面白くなりそう♪」
・・・・・・・・・楽しそうですね。杞憂さん。
まったく言葉の意味がわからないんですが。
「・・・・・と。あ!そうだった!!」
杞憂さんが突然叫んだ。
なんなんだ一体!!
「青菜ちゃん、敦から連絡来たよ。」
・・・・・・・・・・え・・・・
「・・・ホント?」
「ホントホント。ほら、たぶんまだ繋がってると思うから・・・」
そう言って杞憂さんが差し出したのは、杞憂さんの携帯だった。
私は携帯を受け取り、そっと耳に押し当てる。
「・・・・・もしもし?」
呼びかける。すると・・・・・
《青菜か!?》
糞親父の声が聞こえた。
「・・・糞親父?」
《違う!パパだろ?青菜!》
・・・うん。糞親父だ。
この面倒くさい感じ、絶対糞親父だ。
「・・・何逃走してんだよ。逝きたいのか?あ゛?」
《逃走してない!旅に出たんだっ!!》
「同じだろうが!!!」
《違う。全然違うよ、青菜。》
ドキッとした。
今まで聞いたことのない、真剣な糞親父の声。
・・・・・何かあったのか?
《青菜、ごめんな?家とか学校のこととか・・・》
「ホント、大迷惑だよ。家なくなって男子校通学ってどういうことだよ!」
《や、本当にすまん!・・・パパ達の事情で・・・・》
パパ"達"?
「・・・糞親父だけの事情じゃないのかよ?」
《・・・・・・ああ。詳しい事は、帰って来たら話す。》
帰って来たら?
「今じゃダメなの?」
《ダメじゃないけど・・・やっぱり、ちゃんと顔を見て伝えたい。》
「顔を見て?大事なことなの?」
《すごく、大事なことだ。だから・・・》
「ハァッ。もう、わかったよ。そのかわり、殴らせろよ。」
《わかった。でも、ちょっとは手加減・・・》
「しない。」
《ほんのちょっと・・・》
「しない。」
《そんなぁ・・・》
「だって親父、なんか耐久力あるから。・・・手加減なんて、甘いことしない!」
《・・・ハァ・・・わかったよ。やっぱ、海(ウミ)の子供だよなぁ・・・》
ドキンッ!!
・・・海・・・
私のお母さんの名前・・・
《ま、とにかく頑張れ!俺も・・・頑張って生き残る。》
プッ。
ツー、ツー、ツー・・・
「・・・電話切れた・・・」
いきなり切りやがって、糞親父め・・・
――・・・最後の・・・
"頑張って生き残る"って、どういう意味だよ・・・
今、どこにいるんだよ・・・・・
糞親父・・・―――