彼方が吼えた。


何に対してそんなに過剰な反応を示すか。



そんなの、考えずとも明らかだ。




哉の発した『双子』という言葉だ。







しぃん。

静まり返った空間に、響いたのは・・・哉の声。



「やぁだー。彼方っち超こわぁーい。

ほらほら、スマイルスマイルー♪」


俯いて押し黙ってしまった彼方に近づき、哉はぐいっと彼方の頬を横に引っ張った。



不意打ちだったらしく、彼方は目を見開いた。


「ほぉらー、イケメンさんー☆

あ、でも、俺のほうが上だけどな~♪」



さっきの大声なんて、知らないとでもいうように。

能天気な声を発する哉。




まぁ・・・それもそのはず、か。


『双子』という言葉に彼方が反応することは、すでに分かっていただろう。



けれど口に出したのは・・・哉。

おそらく。


何か魂胆でもあったんだろーな。