はぁー・・・
陽の笑顔癒されるぅ~
・・・・・・ん?
でも、今日初めて見た笑顔は甘かったような・・・
・・・・・・・・・陽って、変わったの?変わってないの?
「んー・・・まぁ、どっちでもいいか。」
「何がだよ?」
「なんでもないよ。陽。」
「ふーん・・・」
「・・・うわぁーん!青菜ちゃんのバカー!!無視しないでよぉ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・あ。
りか先生のこと忘れてた☆
「すみません。忘れてました。」
「ヒドッ!!!」
「そうだ。青菜、忘れろ。コイツのことは。」
「陽っ!?ひどすぎないっ!?」
・・・・・アハハ・・・
陽、りか先生は先生なんだよ?
言葉使い、気をつけようよ・・・
「そーそー。りかのことは忘れなよ、青菜ちゃん♪」
・・・・杞憂さんまで・・・・・・
「はぁ?杞憂、テメェ何言ってんだよ。あ゛?」
・・・・・・・・りか先生?
何その反応・・・
あれ?杞憂さんって理事長だったよね?そうだよね?
りか先生の上司だよね?
そんで、陽はりか先生の生徒だよね?
・・・・・・あれれ?
陽と杞憂さんの立場逆転してない?
「りか?青菜がビックリしちゃってるよ?今はやめとこ?」
にっこり~
・・・・・杞憂さん、笑顔が黒い・・・
「チッ。 わかったよ。」
・・・・・りか先生、舌打ちしたよね・・・
・・・2人の間で火花が散ってるんですけど・・・
「2人ってどういう関係?」
私は思わずそう、呟いていた。
「「気が合わない奴同士」」
・・・・・・ハモったね。
「2人が会うと、たいてい無言・無暴力の喧嘩してるぜ?」
そう言ったのは翼。
「・・・無言・無暴力の喧嘩?」
何それ・・・
「そのまんまだ。無言で暴力もしてないけど、お互い凍りつくような視線と、もの凄い量の殺気を出してる。」
そう答えたのは陽。
「・・・へぇー・・・」
まさか、2人が仲悪かったとは・・・
ってか、今も無言・無暴力の喧嘩してるんですけど・・・
「・・・室温が30℃くらい下がったね。」
真夏にはいいかも・・・
冬にはカンベンだけど。
―――・・・・
「あー!やっと授業終わったぁ!!」
只今、6時間目が終わりました!
長かったぁー!!
私、2時間しかマトモに授業でてなかったけど、長かったぁー!!
・・・私の学力は本格的にヤバイみたいです・・・
ま、まぁ、それは置いといて!
「・・・自由解散?」
周りの生徒達は、6時間目の授業が終わったと同時に、さっさと教室から出て行っている。
どうやら、皆で『さようなら』なんて言わないらしい。
まぁ、敵対している族同士なんだし、当たり前か。
そう思い直し、私も教室を出ようとイスから立った。
そしたら・・・
がしっと両肩を掴まれた。
振り返れば、右肩に陽の手が、左肩には翼の手が、乗せてあった。
「何だ?」
今、私は青。
だから、男言葉だ。
「「俺らの倉庫に来い!!」」
・・・・・・・・ハモりましたね。
ってか、睨み合い始めてるし。
なんなんじゃい。
「・・・悪いけど、どっちの倉庫にも行かないから。」
「「は!?」」
・・・またハモった・・・
あんた達、変に気が合うね。
「俺は、今は完全中立の立場につくよ。
どっちかだけと仲良くしたいわけじゃないから。」
「"今は"?」
翼が聞く。
陽も、じっと私を見つめる。
「もしかしたら、気が変わるかもしんないからな。」
私がそう言えば、陽と翼の瞳に闘志が燃えた。
「それじゃあ、気を変わらせないとな。」
と、陽。
「ま、俺らが先に変わらせるけどな。」
と、翼。
「は?俺らの方が先に決まってんだろ。」
と、陽。
「まさか。」
と、翼。
で、言い合いが始まった。
・・・仲悪っ!!
っつーか・・・
「気は変わんないと思うけどな。」
「「変わらせるっ!!」」
・・・威勢のいいことで。
・・・・・はぁ。
そもそも、なんで私なんかが欲しいんだろ?
強いからかな?
・・・それとも、ただの意地?
うーん・・・わかんないなぁ・・・
・・・ま、大したことでもないでしょ♪
どーでもいいや☆
「・・・じゃ、俺はこれで。」
またもや睨み合いを始めた陽と翼に背を向けようとしたら・・・
「「おいっ!待てよ!!」」
そう言われて、しかたなく2人に向き合う。
「何だよ・・・」
いいかげん、喧嘩は見飽きたよ?
「これ・・・」
陽がそう言って私に、紙の束を渡してきた。
「? 何だこれ・・・?」
「それ、紅狼と白狼の幹部以上の奴のプロフィール。」
そう、翼が答える。
「何で俺に・・・」
「あいつらが、自己紹介できなかったからって・・・」
陽がぼそりと呟く。
「ああ、そういえばそうだね。」
杞憂さんとりか先生の無言・無暴力の喧嘩の最中に、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴っちゃって・・・
紅狼と白狼の幹部以上は、総長以外皆どっか行っちゃったんだよね。
「・・・皆、どこ行ったんだ?」
ずっと疑問だったんだよね・・・
「族潰しとか。」
と、陽。
「たぶん、喧嘩買ってる。」
と、翼。
あー・・・
そっかぁ。
№1候補の暴走族だもんねぇ・・・
「なるほどな・・・。えっと、とりあえず貰っとくな、これ。」
「ああ。」
陽はふわっと微笑んだ。
「サンキュ☆」
翼は、にっと笑った。
そして私も・・・
「ん。じゃあ、また明日!」
自然と、笑っていた。
・・・教室を出て、昇降口に向かっていると・・・・・
「青菜ちゃん♪」
りか先生に呼び止められた。
「なんですか?」
「寮まで送ってあげよーと思って♪」
「え!?いいんですか?」
「もちろん!」
「ありがとうございます!・・・良かった~。
実を言うと、寮までの道順、不安だったんですよね。」
「そうなの?それじゃ、よかったよかった♪
・・・じゃ、レッツゴー☆」
・・・・・で、りか先生と来たところは・・・
昇降口ではなかった。
「なんで裏口なんですか?」
「昇降口からだと、混むんだよ~」
「混む?・・・ああ、帰りの生徒がいますもんね。」
でも、それくらいなら大丈夫なんだけど・・・
「いや~、そんな甘っちょろいモンじゃないよぉ」
「・・・なんですか?」
「明日の登校で、嫌というほどわかるよ。」
・・・・・・なんのこと?