「あっ、ありがとう!!」


腕に残る力強い狼谷君の手。


引っ張られた拍子で狼谷君の胸に頭がぶつかってしまった。


慌てて離れると、狼谷君は呆れたようにため息を吐く。


「お前、危なっかしすぎんだろ」


「あははは……。よく言われます……」


「ったく。こっち側歩け」


狼谷君はあたしを壁側に移動させた。