「そういうことだから」


少しだけ挑発的な声でヒロちゃんに言うと、星哉はそのままあたしの手を引いて歩き出す。



ヒロちゃんの横を通り過ぎるとき、一瞬、ヒロちゃんと目があった。


何かを訴えるようなそのまなざしに心が揺さぶられる。


その目は、10年前のあの日、引っ越していくヒロちゃんが見せた時と同じだった。


ヒロちゃん、ごめん。


本当にごめんね。


あたし、ヒロちゃんとの約束……守れそうにないよ……。


心の中で何度も謝りながら、あたしは黙って星哉に着いていった。