「瑞穂、送っていくから今日は帰ろう」


「嫌っ。あたし、帰りたくない!!まだ星哉に話が……――」


「話なら俺が聞くって。とりあえず、帰ろう」


ナオくんは瑞穂ちゃんをなだめるように肩を抱くと、ゆっくりと歩き出す。


その間も、瑞穂ちゃんは何度も振り返り星哉にすがるような目を向ける。



「……――っ」


なんだろう。この感じ……。


過去に星哉と瑞穂ちゃんの間に何があったのかは分からない。


だけど、今、息が止まりそうなほど苦しい。



「……――桃華、帰るぞ」


一度小さく息を吐くと、星哉はゆっくりとあたしに目を向けてそう言った。