次の日も、そのふたりは深月の家に来た。
だが今回だけは、深月はそれを苦に思わなかった。
 
 
それどころか、深月は若干の快感さえ感じていた。
深月が見つけた「答え」を見て二人はどんな顔をするか――。
 
深月はそれを想像し、少し微笑んだ。
その微笑みは、幼い深月のそれにしては幾分不気味だったらしく、やってきた二人は何か違和感を感じた。
 
 
二人がいつもの場所に座る。
昨日までなら、深月がそこにチェスを持って来て、そのまま壁際へと離れていく。
 
 
だが今日は少し違っていた。
深月は持って来たチェスを二人の真ん中にそっと置いて、そのすぐ横に座った。
 
 
この時、深月の鼓動は、いつもより幾分落ち着いていた。
おそらく、深月の秘めたる才能がそうさせているのだろう。
 
 
深月は顔を上げた。
二人は何か少し不気味な物を見るような目をしていた。
 
その目を見た時、深月の鼓動はさらに落ち着いた。
勝利を確信したのだ。
 
普通の人間なら、勝利を確信すれば鼓動は高鳴る。
だが深月の持つ天性の才は、勝利を確信したぐらいで動じる物ではなかった。
むしろ、普通の人が心を動じる「何か」を、天性の才はありのままに受けとめていた。
 
 
 
そして深月はついに、その「答え」を静かに口にした。