そして、この短時間でどのくらい思ったかわからないくらい心に囁いた言葉をもう一度囁き心に呼び掛ける。


__大丈夫だ、これでいい。



「...あ、ねぇそう言え、ば!?」

階段を登りながら、自分に言い聞かせることに必死になっていた私の重心が勢いよく傾く。

それと同時に視界が天井をバックにした結城の顔をとらえる。



…あ、やばい落ちた



そう認識したときにはもう全てが手遅れだった。


足を踏み外して落ちた後の衝撃と冷たさを覚悟してぎゅっと目を閉じる。




...だけどいつまでたっても痛みは来なくて、


かわりに暖かさが私を包んでいた。