「...」

唇にそっと触れる。

まだ、感触と暖かさが残っていた。



『ありがとう』



春太先輩の、そんな囁きが耳に反芻する。


「...はぁ、」

思わず溜め息をつく。

そんな溜め息が、誰かの溜め息と被る。

「っ!?」

「お前は、目を離すとすぐこうだ。」

「...ゆ、結城...何で...?」

思わず目を見張る。

結城は小さく笑いながら、

「狼を退治するのが猟師の仕事だ」

と呟いた。