「だからね、俺、__」
「っ、きゃっ!?!」
切なげに、だけど何処か苦しげな声色で、口を開く春太先輩に被せるように、女の子独特の悲鳴があがる。
その瞬間、今まで消していたライトがつき、私たちは慌てて離れる。
「ど、どうしたの?」
前の方に目を向けると、柚希が涙目で縮こまっていた。
「う、憂っ...蜂っ...」
「蜂?」
窓の方を見ると、晃先輩と有紗先輩が蜂を追い払っていた。
あ、そういえば、柚希は、蜂が大の苦手だったな。
私も虫は苦手だけど、柚希は悪い意味でその苦手がずば抜けている。
「梨本さん、大丈夫。もういないよ」
晃先輩が優しくそう言い、有紗先輩も頷く。
「ご、ごめんなさいドラマの最中に悲鳴なんかあげて...」
「いいよいいよー、どうせさっき文字だらけのエンディングだったしー」
少し落ち着いてから申し訳なさそうに謝る柚希に、涼先輩が軽い感じで答え、ケラケラと笑う。
そんな先輩の言葉にはっ、としてスクリーンの方を見ると、確かにもうドラマは終っていた。
「でも先輩方が作ったやつだし最後までちゃんと見たかったです...ね、憂!」
「え?あ、う、うん!」
思わぬ同意を求める柚希の声に、私は慌てて頷く。