「…君は?」

一瞬動きを止めた春太先輩の隙を見て、素早く距離をとる。


「憂の親友の梨本柚希よ!怪しいとは思ってたけど、こんなことするとかっ...!憂をあんたには絶対渡さないから!」

「...へぇ、気づいてたんだ?中々の洞察力だね?」

春太先輩が嘲笑するように柚希を見る。

「し、春太先輩!柚希にそんな言い方やめてくださいっ...!」

そんな先輩に、思わず勢いよく怒ってしまう。

「こんな状況なのに、元気良いね?」

そんな春太先輩の手を柚希が払いおとし、かわりに私の手を掴んで走り出した。