「よくわかんないけどさ…


俺はなずなの家に遊びに行きたいだけだ。」

『何?』


「何となくそう思ったから来ただけだ。」


「…。

あんた、一体…」


『なら…後日にしてくれないか?』

「また明日…って言っただろ?」


『え?』


「俺だって他人との約束を破ったことが一度はあるさ…


約束を忘れちゃったこともある。


だけどさ…自分からした約束くらいは守りたいんだよ。

変な意地だけどさ。」

『君は何を…?』

「昨日、また明日って言ったんだから…


今日、なずなに会わないと…な?」

幸大が寝転がった体を起こそうとする


『馬鹿だ…君は。


すみれ、彼を絶対に通すな!!』


「はい。」


ガッ!!

すみれは起き上がろうとした幸大の顔面を踏みつけたら



スピーカーの音は止まっている

通信は切れているようだ




「涙声じゃねーかよ…」

ガシッ!

幸大がすみれの足を掴む



「な!?

まだ足掻くの!?」

すみれが言う


「…。

…なずなの家族を殴るのは嫌なんだけど…」

幸大が言う

「は?

私はあんたごときに負けないわよ!!


かかって来なさい!?」



「本気を出すぞ?」

顔面を踏まれたままの幸大が言う

「ハッタリね…」