3時間後


「はぁ…はぁ…」


幸大はゆっくりと歩きながらすみれの横を通りすぎようとする

「せいっ!!」


バキィッ!!

幸大の顔面に蹴りが入り吹き飛ぶ


ドサッ…


「…。

大丈夫?」

すみれが言う


「心配するくらいなら…通してくれない?」


「嫌よ。

そろそろ諦めたら?

普通ならもう精神が折れてるでしょ?」

すみれが言う


「もう意地だ…」

幸大が言う





『君はまだ居たのか!?』

どこからかなずなの声が響く


「?」


「この山には監視カメラやスピーカーが付いてるのよ。

この時間は、お昼だから選出の儀も一時的に休止ね。」


すみれが言う



『すみれ、手加減なんかしないで早く彼を追い出してくれ!!』


「手加減などしていませんわ…むしろ、どれも一撃で決めるくらいの攻撃で…」


『…。

幸大…帰ってはくれないか?』

「何でだ?」

『君が仮に私の元へ辿り着いたとしてもどうすることもできない。

しきたりを今さら変えることもできないし、今さら中途半端に止めることもできない。


君が痛い思いをするだけだ。』