「小鷹、さっきの水流を動かすやつで僕の周りに鮫を集めて少しでいいから海面に体の一部を出せる？」


あかねが言う




「ああ、任せろ。


操・流流し！」



あかねの近くに集められた数匹の鮫はすべて、背びれが海面に出ていた


「僕には大層な必殺技はないんだ。

君たちは因幡の白兎なんてのを聞いたことすらないんだろうね。」


あかねは語りかけるかのように鮫の背中を跳びながら渡る



「ウサギは帰り道に失敗したけど…僕は失敗しないよ。」


あかねが集まった鮫たちの背中を渡り終えた時、すでに鮫たちは眠っていた


「僕のサンダルのそこにはいくつもの小さな針がついているんだ。

靴底に様々な薬品を入れると踏んだ相手に薬を投与できるんだ。

それは眠り薬。



どうか、ウサギの皮を剥ぐほどの素敵な夢を。」



あかねが幸大のもとへ戻ってきた