「あ…あんた、前の強いおっさんの時の…」

「明日香…知り合いなのか?」

駆け寄った朱里が言う

「知り合いってほどじゃない。

これを合わせて二回守ったってだけだ。」

幸大が言う

「守った?

本当に守りきれんのか!?」

男がまた鉄パイプを降り下ろす


「武神流奥義・王剣!」



キィンッ!

幸大の剣の幻影を纏った拳が鉄パイプを切断する


「な!?

手で鉄パイプを!?」


「明日香を避難させてくる!」

朱里が言う

「クリス、援護を頼む!」

幸大が言う

「ああ、任せろ。

その代わり、ジニーは任せたぞ。」

クリスが2人に近寄る不良を倒しながら言う


ジニーは幸大の近くに立つ

「今だ!!」

不良がジニーに襲い掛かる


「!?

王槍!」

幸大が咄嗟に不良を殴る


グシャッ!!

「がぼっ!?」


不良の右胸部に撃ち込まれた拳は不良の肋骨、鎖骨、肩甲骨を破壊し吐血させる

骨が粉々に砕かれたことにより肺に骨が刺さることは回避されたが一瞬で再起不能へと至らしめた



「な…?


やば…」


幸大が自分の拳を見つめた

「手加減しなきゃ…殺しちまう…」

幸大が呟いた






それを電柱の上から見下ろす人影があった


「おやおや…やっと気づいたね。

今までは武の道を歩んだ者や己より強い者と戦ったりしただけだから実力がわからなかったんだろうけど…


今の幸大君なら楽に人が殺せてしまう。



そんな力を持ってると知ったとき君はどうする?


その力に溺れるかい?


それとも、恐れて拳を握ることをやめるのかい?」


幸明が言う



「わしらの弟子がそう簡単に揺らぐかの?」

老師が電線に片足で立ちながら言う

「さぁ?

ところで、オタクの知り合いが日本に来てるらしいよ?」

幸明が言う

「うむ。

手塩にかけて育てたじゃじゃ馬でな…

幸大に任せようと思うてな。」


「そう?

でも…その子にヤバイのがこっそりついてきてるよ?

チャイニーズマフィアって言うんだっけな…」

幸明が言う

「そうか…しかし、私が心配しなくていけないのは弟子の身よりもじゃじゃ馬の身かの。」

「ふーん…その理由は?」

「幸大が負けるとは思うとらん。

が…難点が幸大にはあるがのぉ。」

老師が言う

「僕もだよ。

彼は…」


「「女に弱い」」


2人が笑いながら言う