広場がざわめく


スッ…

それをなずなの父親がただ手のひらを門弟に向けて静止させた



「なずな…良いのだな?」


「はい。」


「そうか。


これにて選出の儀を終える!」

父親が言う



「ふざけるな!!」

背が大きく体格の良い男が怒鳴る

「文句は受け付けん。」

父親が言う


「俺は五年間、武神流に励んできた!

武神流の継承者となるために!



それなのに!

たかがこんなガキの下らない愛だの恋だのと言う感情ごときでただの素人が継承者になるのだ!?」


男が言う


「私の感情を下らないだと…」

なずなが眉を潜める




「お主…門弟と言えども娘を小馬鹿にするなら容赦はせんぞ?」

父親が睨むと男は怯む



「愛だの恋だのと…って、

…あ、あの…なずなが俺を選んだのって…」


「…。

ま、まぁ、そういうことだ…


もちろん、今すぐではなくまだまだ先の話で…

だから、その…友達から始めよう、と言うやつだ…。」


なずなが顔を真っ赤にしうつむきながら言う



「あ、ああ…

まぁ…ただ…言ったろ?

俺の友達はお前一人だから…始めようとかじゃなくて、始まってる。」

幸大が言う


「ふっ…そうだったな。」


なずなが微笑む