「大好きなの。でもだめ。こわい」

「違う」よりさらに何度も、

何度も私は言った。

大好きなの。秋雄。あなたの事が。

したくないんじゃないの。

でも今はまだできない。

ごめんね。できない。


希望と、期待を。

秋雄のためにではなく自分のために

無意識につないでいた。

「今は」と。


「無理やりには…しないから。

そんなふうに、怖がらせたくない」

長い沈黙のあと、秋雄がぽつりと言った。

汗で額にはりついた私の髪を

指ではらいながら、

「しんどいけど」と笑った。