本当に全く聞いていなかった。


「待って!俺用事あるから!今日は……。」

「えーから早よついてこい!」



俺は担任に腕を掴まれ、ずるずると職員室に連れて行かれた。











雑用が終わったころには、もうみんなが学校を出てから30分は経っていた。




先に帰ったかな?




俺は小走りに、待ち合わせ場所の自転車置き場に向かった。






「あっ……。」


そこにはしゃがみこんで下を向いている彼女がいた。




「悪いっ!担任に捕まって雑用してたんだ!先に帰ってくれても良かったのに。」

「知ってたよ。先生、さっき黒川くん呼んでたじゃない。全然話聞いてなかったんでしょ?」




図星………




黙り込んで目を反らす。



俺の悪い癖がでた。






「何ぃー?そんなにあたしのこと考えてたのぉー?」

「ばっバカ!ちげーよッ!んなわけないだろッ!!」





彼女も冗談半分で言ったのだろうけど、半分図星。




俺は目が泳いでしまった。






「ね、行こっか?」



そう言うと、彼女はニコッと笑って俺の手をとった。



突然の出来事で俺の心臓はバクバクだった。